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確定拠出年金

DC年金制度は離転職の際も次の会社のDC企業型かDC個人型へ資産の持ち運びが担保されていて、制度の特徴の1つとなっています(ポータビリティと呼ばれます)。このように本人が次のDC年金へ年金資産を移し替える事を『移換』と呼んでいます。また移し替える年金資産を『移換金』と呼びます。『移換金』が0円でも『移換』の手続きは可能です。例えばDC企業型の加入者が中途退職し事業主返還後の残余資産が0円となってしまっても、次のDC年金への移換手続きを行えばそのDC企業型での加入期間等のデータが次のDC年金へ移換されます。
一方、企業の退職給付制度の改定に伴い、従来の退職一時金や確定給付企業年金等からDC企業型へ資産を移し替える事を『制度移換』と呼んでいます。制度移換される年金資産は『制度移換金』と呼ばれます。『制度移換』は必ず労使合意に基づく事業主の制度改定が伴いますので、年金規約の承認(変更)申請及び地方厚生(支)局長による承認が必要となる点が前述の『移換』と大きく異なる点です。

『移換』とは異なり制度移換金が0円の場合は『制度移換』は不可ですので、移換元制度の加入期間等のデータをDC年金へ移換する事はできません。逆に1円でも制度移換されれば加入期間等のデータは移換されます。



さてDC企業型へ『制度移換』が可能な制度は下記の3種類です。



①退職一時金

②厚生年金基金

③確定給付企業年金(規約型企業年金・基金型企業年金)



従来は適格退職年金も制度移換が可能でしたが、今年3月末で制度そのものが終了したため対象の制度から除外されました。役員退職慰労金も移換可能かどうか問合せを受けた事が過去にありますが不可です。理由は法令上にて制度移換が可能な制度として定められていないためです。

※制度移換は不可ですが、役員をDC企業型の加入者に含める事は可能です(60歳未満の厚生年金被保険者に限る)



この『制度移換』の詳細スキーム等は、知恵袋の読者にはあまり興味ないことと思われますので、①退職一時金は4年~8年の分割移換が必要となる事、②厚生年金基金・③確定給付企業年金は一括移換である事、及び①退職一時金の分割移換の途中で中途退職や60歳到達等の資格喪失となった場合でも、未移換金は全額一括でDC年金へ移換する必要がある事だけ触れておきます。



この『制度移換』はDC企業型の加入者に対してのみ可能ですので、DC年金へ加入しない方へは移換は認められません。

また法令上はDC年金への加入/未加入を従業員による選択制度とする事が可能ですし、制度移換についても同様に選択制度とする事も可能です。



このため【将来分】と【過去分】の従業員の選択肢は一般的に下記の通り【Aコース~Cコース】の3種類となります。



A:【将来分】はDC年金へ加入する、【過去分】はDC年金へ移換する

B:【将来分】はDC年金へ加入する、【過去分】は現金受給(DC年金へ移換しない)

C:【将来分】はDC年金へ加入しない、【過去分】は現金受給(DC年金へ移換しない)



逆に言うと、「【将来分】はDC年金へ加入しない、【過去分】はDC年金へ移換する」という選択肢は法令上不可となっているわけです。



このように法令上では従業員による選択制度とする事が可能なものの、実際の制度改定は個々の会社(事業主の判断)により行われます。このため全員一律で「Aコースのみ」、「Bコースのみ」、「AコースとBコースの2つからの選択」などのケースも実務的には見られます(ただし何れの場合も労使合意に基づく年金規約の承認(変更)申請が必要)。



さらに制度設計上・法令上ではA・Bコースの中でさらに【将来分】のDC掛金について複数コースを提示して選択と変更を可能とする方法や(掛金の25%・50%・75%・100%コースなど)、【過去分】の制度移換金についても50%移換&50%現金受給と100%移換と100%現金受給の3つから選択可能とする方法等は可能です(その分複雑な制度となり制度運営の負担は大きくなります)。



また『移換』・『制度移換』ともに非課税ですので課税関係は一切生じません。

一方で上記B・Cコースのように【過去分】を現金受給する場合は課税対象となります。①退職一時金の現金受給を選択する場合は一般的に「給与所得課税」とされ、②厚生年金基金・③確定給付企業年金を現金受給する際は「一時所得課税」となります(厚生年金基金の代行部分はDC移換・現金受給共に不可です)。



さてこの『移換』及び『制度移換』の特徴は、次のDC年金に非課税で資産を移換できる事とそれまでの加入期間等のデータを引き継げる事にあります。この際に引き継がれる加入期間等のデータは下記の2種類です。



(1)通算加入者等期間

(2)通算拠出期間



(1)通算加入者等期間が10年以上の場合は、60歳から老齢給付金(老齢年金及び老齢一時金)を受給することが可能となります。また(2)通算拠出期間は老齢一時金を受給する際の退職所得控除の基礎となる期間となり、移換に伴い非課税枠が広がる事となります。同時に(2)通算拠出期間が3年以下で中途退職した際に脱退一時金が受給できる場合があるわけですが、拠出期間が通算されたため受給できなくなってしまう場合が生じます。このようにメリットが2つ、デメリットが1つあると言う事ができます。総じて言えば移換金が0円でも移換手続きを行った方がメリットが大きいと言えるのではないでしょうか。



通算加入者等期間及び通算拠出期間、脱退一時金の詳細については以前にまとめましたので下記のノートをご参照下さい。



確定拠出年金について① ~『期間』や『年数』のまとめ~

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n114156



確定拠出年金について⑤ ~脱退一時金について~

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n120922





さてDC年金制度上の通算加入者等期間や通算拠出期間は記録関連運営管理機関であるレコードキーピング会社がデータの保管や通知を行っていますが、『制度移換』に伴う元制度(退職一時金や確定給付企業年金等)における加入期間等のデータは事業主(企業)から記録関連運営管理機関へ通知する事となっています。この元制度における加入期間等は法令上にて「(元制度における)給付の基礎となる期間」と定められています。

この「給付の基礎となる期間」については実は不明な点が残っています。例えば元制度において勤続3年未満のため退職金の支払いがない従業員でも、確定給付企業年金からは通常『制度移換金』が発生します。また育児・介護休業期間は確定給付企業年金を含めて退職金算定の基礎期間に含めないというケースもよく見られます。では制度移換に伴う「給付の基礎となる期間」は何時から何時までなのか?

個人的には当該元制度が存続した場合に給付金の計算において基礎となる期間と解されると思いますので、勤続3年未満の期間を含み、計算基礎とならない休職・休業期間を除くべきと考えています(私見ですが)。ところが実務では事業主が「入社日~制度移換元制度の解約日」までのすべての期間(月数)を記録関連運営管理機関に通知して、通算加入者等期間及び通算拠出期間の両方に含めているケースが大半ではないかと思います。加入者にメリットが大きく、事業主には何らデメリットがありませんので。
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